【共同声明】日本の市民社会は、国連科学委員会の福島報告の見直しを求める。

2013.10.25 15:40|国際機関などの指針
2013.10.24 プレスステートメント
国連科学委員会に対する声明

特定非営利法人 ヒューマンライツ・ナウ公式サイトより
http://hrn.or.jp/activity/topic/post-235/

日本の市民社会は、国連科学委員会の福島報告の見直しを求める


1 国連科学委員会報告への懸念

 国連科学委員会は、現在開催中の68会期国連総会に対して提出する予定の報告書 において、福島第一原発による放射線被ばくの程度と影響に関する研究結果 を掲載している。

 私たち、下記の日本を本拠とする市民団体は、上記国連科学委員会の調査結果が客観性・独立性・正確性において疑問があり、被ばくの過小評価が住民の保護や人権尊重に悪影響を及ぼしかねないことについて深刻な懸念を表明する。私たちは、同委員会および国連総会第四委員会に対し、慎重かつ十分な討議により、その内容が最も脆弱な立場の人々を保護する人権の視点から見直すことを要請する。

 私たちが最も懸念する科学委員会の結論部分は以下のとおりである。

· 「一般市民への被ばく量は、最初の1年目の被ばく量でも生涯被ばく量推計値でも、一般的に低いか、または非常に低い。被ばくした一般市民やその子孫において、放射線由来の健康影響の発症の識別し得る増加は予期されない。」(39パラ)

· 「委員会は、福島県の成人の平均生涯実効被ばく線量は10 mSv以下であり、最初の1年の被ばく量はその半分か3分の1であると推定する。リスクモデルによる推定は癌リスクの増加を示唆するが、放射線誘発性の癌は、現時点では、他の癌と区別がつかない。ゆえに、この集団における、事故による放射線被ばくのせいである癌発症率の識別し得る増加は予期されない。特に、甲状腺癌リスクの増加は、乳児と小児において推測される。」(40パラ)


2 調査の独立性の欠如
 
 そもそも、国連科学委員会は、福島原発事故後、原発事故周辺地域に公式の事実調査に訪れたことはない。
同委員会による放射性物質による汚染や公衆や作業員等の被ばく、健康影響について予測は、日本政府、福島県等から提供されたデータのみに基づいて行われている。

 日本の市民社会や各種専門家は、日本政府の提供したデータとは異なる独立した調査や測定を実施しているが、委員会がこのような、政府から独立したデータ等を収集したり、独自の測定等を実施した形跡は認められない。これでは、日本政府から独立した客観性のある調査とは認めがたい。

福島県が全県民を対象に初期被ばくを推測する行動調査を実施したが、回答率は20パーセント程度にとどまっており、そのようなデータで初期被ばくについて推測することは到底できないはずである。また、政府が公表している放射線測定データについては、実態を反映していないとの強い批判が住民から上がっており、この点については、国連「健康に対する権利」特別報告者のアナンド・グローバー氏も、福島での現地調査の結果、モニタリングポストと現実の放射線量の乖離について指摘をしている 。

昨今の汚染水に関する事態が示す通り、日本政府の情報開示の姿勢には重大な問題があり、情報開示に関する透明性が確保されているとは認めがたい。

私たち市民社会は、国連科学委員会および国連総会第四委員会に対し、このような報告を公表・承認するに先立ち、現地調査を含む独自の情報収集を徹底して行うことを求める。


3 委員会の結論が正確性を欠くこと

 (1) 国連科学委員会は「一般市民への被ばく量は、最初の1年目の被ばく量でも生涯被ばく量推計値でも、一般的に低いか、または非常に低い。」とし、「福島県の成人の平均生涯実効被ばく線量は10 mSv以下最初の1年の被ばく量はその半分か3分の1であると推定する」という。
しかしながら、日本政府は、年間外部線量20mSvを下回ると判断された地域について避難指示を出していないのであり、事故後、相当数の人が既に年間で10mSvを超える外部線量に晒されてきた。委員会がいかなる根拠で上記のような推定をしたのか、根拠は今のところ示されていないが、この推定は現場の実態を正確に反映したものとは認めがたい。 
また、実効被ばく線量の平均値を根拠として、集団全体について健康影響がないと決めつけるのは、平均より高いリスクを負う人々への影響を、予断をもって切り捨て、検討対象から外すものである。この態度は、非科学的と言わざるを得ない。


 (2) また、国連科学委員会は、乳児と小児の甲状腺がんリスクの増加を推測する一方、他のがんリスクの向上を「予期されない」とするが、これは、最近の疫学研究が低線量被ばくの健康影響を明確に指摘しているのに矛盾するものである。
放射線影響研究所は広島・長崎の原爆被害者の1950 年から2003 年までの追跡結果をまとめた最新のLSS(寿命調査)報告(第14報、2012年) を発表している。この調査は、全ての固形がんによる過剰相対リスクは低線量でも線量に比例して直線的に増加することが指摘されている。 

カーディスらの行った15ヶ国60万人の原子力労働者を対象とした調査で、年平均2ミリシーベルトの被ばくをした原子力労働者にガンによる死亡率が高いことが判明している。

BEIRをはじめとする国際的な放射線防護界は、100mSv以下の低線量被曝についても危険性があるとする「閾値なし直線モデル」(LNT)を支持しており、100mSv以下の被曝の健康影響を否定していない。

さらに、今年になって発表された以下の2論文は、低線量被ばくの影響について重大な示唆を与えている。

まず、オーストラリアでなされたCT スキャン検査(典型的には5~50mGy)を受けた若年患者約68万人の追跡調査の結果、白血病、脳腫瘍、甲状腺がんなどさまざまな部位のがんが増加し、すべてのがんについて、発生率が1.24倍(95%信頼区間1.20~1.29倍)増加したと報告されている 。また、イギリスで行われた自然放射線レベルの被ばくを検討した症例対照研究の結果、累積被ばくガンマ線量が増加するにつれて、白血病の相対リスクが増加し、5mGy を超えると95%信頼区間の下限が1倍を超えて統計的にも有意になること、白血病を除いたがんでも、10mGy を超えるとリスク上昇がみられることが明らかになった 。

 科学委員会の見解は、低線量被ばくの影響を過小評価するものであるが、最近の疫学研究の成果は明らかにこれと反対の傾向を示している。科学委員会は最近の疫学研究を踏まえて、低線量被ばくについて、より慎重なアプローチを採用すべきである。


4 他の研究との整合性の欠如

 健康影響がほとんどないとする科学委員会の見解は、WHOが2013年に公表した福島原発事故の報告書の予測とも著しく異なるものである 。WHO報告書は、「福島県で最も影響を受けたエリアは事故後一年の線量が12~25mSvのエリアだとして、白血病、乳がん、甲状腺がんとすべての固形がんについて増加が推測される。子どものころの被ばく影響による生涯発症リスクは男性の白血病で7%増加し、女性の乳がんで6%、女性についてのすべての固形がんで4%、女性の甲状腺がんで70%上昇すると予測される」とし、事故後一年の線量が3ないし5mSvの地域でも、その1/3ないし1/4の増加が予測される、としている。さらにWHO報告は、低線量被ばくに関する科学的な知見が深まれば、リスクに関する理解も変化する、と結論付けている。

 さらに、国連科学委員会は、今回の国連総会に対する報告で、福島原発事故の影響と並んで、子どもに関する放射線影響に関する研究( Scientific Finding B. "Effects of radiation exposure of children")を紹介している。この研究は、子どもに対する放射線被ばく影響については予測がつかないことから、より慎重に今後研究を進めていくとしており、評価しうるものである。ところが、子どもに関する放射線影響に関する研究についての報告に貫かれている慎重な視点は、福島原発事故に関しては全く反映されておらず、報告書の文脈は分裂している。
 科学委員会は、子どもに関する放射線被ばく影響に関する見解と統一性のあるかたちで、福島事故後の健康影響について再検討すべきである。


5 福島の実情

 福島原発事故により大気中に放出された膨大な放射性物質は、セシウムにして広島型原爆の少なくとも168.5倍とされ、今も汚染水等汚染物質の放出は拡大中であり、今も周辺住民、特に妊婦、子ども、若い世代は深刻な健康リスクにさらされている。

 政府は事故直後に、従来からの告示・指定である「公衆の被ばく限度 1ミリシーベルト」基準を大幅に緩和して、「年間20ミリシーベルト(以下、mSv)」を避難基準として設定したため、子どもや乳幼児、妊婦を含む多くの人々は避難・移住や放射線防護に関する支援もなく、十分な健康対策もないまま、高線量地域に居住を余儀なくされている。政府は、「100ミリシーベルト以下の低線量被曝は安全」との見解を普及し、低線量被ばくの影響を過小評価し、すべての政策をこうした見解に基づき、住民の意見を十分に反映しないまま決定・実行してきた。

 チェルノブイリ事故後の1991年に旧ソ連が確立し、ベラルーシ、ウクライナ、ロシアで踏襲された政策「チェルノブイリ・コンセプト」ては、追加線量5ミリシーベルト以上を「移住地域」として、移住を全面的に支援すると共に移住で失う財物について賠償を行い、追加線量1ミリシーベルトから5ミリシーベルトの間の地域を「避難の権利地域」として、避難するか否かの選択権を住民に与え、避難を選択した者には、「移住地域」と同様の支援・賠償を実施し、留まる事を選択した者には、継続的な無料の医療支援と定期的・詳細な健康診断、外からの安全な食べ物の提供、1~2月の公費によるプログラムの適用を制度化し、住民を健康被害から保護する努力を続けたとされる。
日本での施策は、チェルノブイリ事故後の施策水準を大きく下回るものであり、20mSv基準の施策が今後も長期間継続すれば、チェルノブイリ事故を上回る健康影響すら懸念される。
汚染水に関しては、今年8月20日に東電が貯蔵タンクから300トンもの汚染水漏れがあったことを報告した。漏れた水の空間放射線量は毎時300ミリシーベルトだったと発表されている。

 こうした深刻な実情が報告書には反映されていない。そもそも、汚染水等の事態が収束しない現状に鑑みるなら、健康影響について確定的な分析をすることは時期尚早と言うほかない。


6 国連人権理事会「グローバー勧告」を反映すべき

 2013年5月27日、国連「健康に対する権利」に関する特別報告者アナンド・グローバー氏は、2012年11月の福島等での現地調査の結果を踏まえ、国連人権理事会に対し、福島原発事故後の人権状況に関する事実調査ミッションの報告書を提出し、日本政府に対する詳細な勧告を提起した。

 特別報告者は、低放射線被ばくの健康影響に関する疫学研究を丁寧に指摘し、低線量被曝の影響が否定できない以上、政府は妊婦や子どもなど、最も脆弱な人々の立場に立つべきだと指摘し、「避難地域・公衆の被ばく限度に関する国としての計画を、科学的な証拠に基づき、リスク対経済効果の立場ではなく、人権に基礎をおいて策定し、公衆の被ばくを年間1mSv以下に低減するようにすること」(勧告78(a)) を勧告した。また、帰還について「年間被ばく線量が1mSv以下及び可能な限り低くならない限り、避難者は帰還を推奨されるべきでない」と指摘し、避難等の支援策や、詳細な健康検査は、年間1mSv以上の地域に住むすべての人に実施されるべきだと勧告した。

 同報告は、最も影響を受けやすい脆弱な立場に立つ人に十分な配慮をして、健康に対する権利の保護のための施策を求めたものであり、日本の市民社会はこれを歓迎している。

 ところが、日本政府は、国連科学委員会の見解に依拠して、グローバー勧告は「科学的でない」としてその勧告のうち多くについて受け入れを拒絶している状況にある。国連科学委員会の見解が低線量被ばくを過小評価する結果、被害者救済や健康に対する権利を保障する政策にマイナスに働くような結果を招来することは、本来国連の意図するところではないと考えられる。

 国連科学委員会、そして国連総会は、人権の擁護という国連の根本的な目的に立ち返り(憲章1条)、人権の視点に立脚した意思形成をすべきであり、科学委員会および国連総会の意思決定は、人権の視点に立脚したグローバー勧告を十分に反映するものであるべきである。


7 結論

 以上により、私たち市民社会は、国連科学委員会と国連総会第四委員会に対し、人権の視点に立脚し、低線量被ばくに慎重な視点に立ち、また、調査・分析の公正・中立・独立性を重視する立場から、国連科学委員会の報告内容を全面的に見直すよう要請するものである。

以上



特定非営利活動法人ヒューマンライツ・ナウ
市民放射能測定所
国際環境NGO FoE Japan
子どもたちを放射能から守る全国ネットワーク
虹とみどりの会
緑ふくしま
脱原発ネットワーク茨城
反原労(反原発労働者行動実行委員会)
風下の会 福島
那須野が原の放射能汚染を考える住民の会
全石油昭和シェル労働組合
おおさか生命環境コミュニタス
手をつなぐ3.11信州
和歌山放射能ガレキから命を守りたい委員会
ハーメルンプロジェクト
<ノーモア南京>名古屋の会
ストップ原発の会
原発やめよう/つながろう 関西・マダム会議
世田谷こども守る会
高木学校
吉川健やかネット
暮らしの環境情報室
福島県自然保護協会
「さよなら原発!三鷹アクション」実行委員会
脱原発・滋賀☆アクション
子どものための平和と環境アドボカシー(PEACH)
希望の大輪プロジェクト
原子力行政を問い直す宗教者の会
福島の子どもたちとともに・世田谷の会
脱原発の日実行委員会 
緑の党グリーンズジャパン
町民立環境ネットワーク★大磯
Oracle itami ~ポスト3.11を避難者と共に考える伊丹市民の会~
子どもたちの未来と環境を考える会ひょうご
東京電力と共に脱原発をめざす会
原発震災を防ぐ全国署名連絡会
原発震災を防ぐ風下の会
放射能からこどもを守ろう関東ネット
避難・支援ネットかながわ
福島大学原発災害支援フォーラム(FGF)
子どもの未来をまもる会・生駒
ハイロアクション福島
未来といのちを守る会
未来といのちを守る会泉州
森のこや
西屋敷
泉の森
かぶら屋
としま放射能から子どもを守る会
ぐるぅぷ未来
千代田区こども守る会
測定器47台プロジェクト
安心・安全プロジェクト
上関原発の根っこを見る会
いのち・未来 うべ
福島大学安全安心な教育環境をめざす保護者の会
被災者支援を考える会こうべ
避難・支援ネットかながわ
花風香の会
びわこ☆1・2・3キャンプ
本牧シニアITクラブ
本牧シニアEX
Make Our Way
ネットワークあすのわ



自然科学雑誌【Nature】Editorialよりつよい不信感

2013.09.08 15:49|国際機関などの指針
2013年9月3日のNature のEditorialに福島原発からの汚染水漏洩への日本政府および東電の対応について、つよい不信感を表明する編集委員からのコメントが掲載された。


■日本語訳(内田樹)の転載:
http://blog.tatsuru.com/2013/09/06_1112.php

破壊された福島の原子力発電所から漏洩している放射性物質を含んだ流出水は、1986年ウクライナでのチェルノブイリ・メルトダウン以後世界最大の原子力事故の終わりがまだ見通せないことをはっきりと思い出させた。

2011年3月に福島原発に被害を与えた地震と津波の後、この地域を除染するための努力は今後長期にわたるものとなり、技術的にも困難であり、かつとほうもない費用を要するものであることが明らかとなった。

そして今またこの仕事が原発のオーナー、東京電力にはもう担いきれないものであることがあらわになったのである。

日本政府は9月3日、東電から除染作業を引き継ぐ意向を示したが、介入は遅きに失した。

事故から2年半、東電は福島の三基の破壊された原子炉内の核燃料の保護措置についての問題の本質と深刻さを認識していないことを繰り返し露呈してきた。

毎日およそ40万リットルの水がロッドの過熱を防ぐために原子炉心に注水されている。汚染された水が原子炉基礎部に漏水し、コンクリートの裂け目を通じて地下水と近隣の海水に拡がっていることを東電が認めたのはごく最近になってからである。

東電以外の機関による放射能被曝の測定は難しく、私たちが懸念するのは、この放射能洩れが人間の健康、環境および食物の安全性にどのような影響をもたらすことになるのかが不明だということである。

問題はそれにとどまらない。使用済みの冷却水を保存している1000の貯蔵庫があり、これらは浄化システムによる処理を経ているにもかかわらずトリチウムやその他の有害な放射性核種を含んでいる。漏洩はこのシステムがいつ爆発するかわからない時限爆弾(laxly guarded time bomb)だということを明らかにした。

ゴムで封印されたパイプや貯蔵タンクが漏水を引き起こすことは誰でも知っていることである。東電が漏水を検知する定期点検を信頼していたというのは無責任とは言わぬまでも不注意のそしりは免れ得ない。(careless, if not irresponsible)

(・・・)

政府の過去の対応と情報政策から判断する限り、日本政府も、東電と同じく、この状況を制御し、パブリックに対して情報を開示する能力がもうないのではないかという疑念を抱かせる。(Given the government's past actions and information policies, one might doubt whether it would be any more competent than TEPCO at managing the situation and communicating it to the public)

週明けに、漏水しているタンク付近の放射線量は最初に報告された数値の18倍であることがわかった。漏水は当初ただの「異常」とされたが、のちに真性の危機(a genuine crisis)であることがわかったのである。

日本は国際的な専門家に支援のための助言を求めるべきときを迎えている。米国、ロシア、フランス、英国などは核エンジニアリング、除染および放射線の健康被害についてのノウハウを持っており、日本の役に立つはずである。
国際的な研究と除染のための連携はモニタリングと危機管理の有用性と有効性についての粉々に打ち砕かれた信頼(shattered public trust)を回復するための一助となるであろう。

漏水が最も大きな影響を及ぼすのは福島沖とそこから拡がる太平洋への影響である。この影響については精密なモニターがなされなければならない。

日米の科学者によって2010年と2011年に行われたアセスメントでは二つの重大な問題が答えられぬまま残った。どれだけの放射能が海洋に浸入しているのか?原発事故以後長い時間が経ったにも拘わらずいくつかの種において高いレベルの放射能が検知されているわけだが、問題の地域の魚介類の消費がいつ可能になるのか?漏水によって、これらの問いへの答えることが喫緊の課題となっている。

(・・・)

安倍晋三首相と彼の政府は科学研究支援を約束した。彼らには情報を集め、それを共有することを通じて世界中の研究者を激励し、支援する義務がある。チェルノブイリでは科学者たちは原発事故後に何が起きるかについて研究する機会を逸した。福島ではせめてそれだけでも成し遂げたい。


■別の日本語訳(フルカワヨウコ)の転載:
http://yokofurukawa.tumblr.com/post/60466011377/9-5-nuclear-error

Nature.com 9/5/2013

日本は、海外の専門家の助けを受け入れて、福島問題を調査し、危機の軽減に努めるべきだ

放射性のある汚染水が壊れた福島第一原子力発電所から漏洩している、という事実は、この、チェルノブイリ以来最悪の核事故である福島の危機が、まだその真っ最中である、ということを改めて確認させてくれます。2011年3月の地震と津波で福島第一原子力発電所が崩壊して以来、地域の環境を浄化していくにはたくさんの時間とお金がかかる、ということはわかってきていましたが、ここに来て、この作業はTEPCOには手に負えない程大きなものである、ということが明らかになりました。2013年9月3日に、日本政府から、浄化作業はTEPCOではなく政府が先頭になって行うことになった、という発表がありました。でもこの介入はもっと以前に行われるべきであったでしょう。

原子力事故から2年半、TEPCOは、三機の破壊された原子炉での核燃料の貯蔵タンクで起こる問題の原因とその深刻さを、認識できていない、ということが何度もありました。現在一日あたり約40万リットルの水が、核燃料の温度を管理するために原子炉に注入されています。TEPCOは、最近になって初めて、この冷却に使われた、放射線で汚染された水のいくらかが、コンクリートの割れ目から原子炉の地下室に流れ込んで、更にそこから地下水や隣接する海洋に漏洩している、という事実を認めました。外部(の中立)団体などによる被ばく状況の測定はほとんど実施されていません。この汚染水の漏洩が人体、周辺環境、そして農産海産物に与える影響がほとんどわかっていない、というのは問題です。しかも、問題はそれだけではありません。今現在、1,000機近くの使用済み冷却水貯蔵タンクがあるわけですが、これらに保存されてる水は、浄化装置を一度通しているにもかかわらず、トリチウムなどの有害な放射性核種で汚染されています。今回の漏洩で、この貯蔵システムは、管理の行き届いていない時限爆弾のようなものだ、ということがわかってきました。

ゴムで閉じてある配管や貯水タンクが漏れやすい、というのは誰でも知っていることです。TEPCOが漏れの予防を定期検査だけに頼っていたのは、もし無責任だ、と責めるのは言い過ぎだとしても、ぞんざいであった、とは確実に言えるでしょう。今回の漏れへの対応策として、TEPCOのプランがただ単にもっと多くのセンサーを配置したり、安全弁を増設する、という応急処置にとどまっている、ということ自体が、この汚染水のタンクがもともとその場しのぎで設置されたものだ、ということを物語っています。そして、現在も、続々と溜まってくる汚染水を最終的にどうするのか、ということに対しての結論は出ていません。今年の前半に出てきた、汚染水を海洋に廃棄する、という提案書は、案の定、地元の漁業者からの強い反対にあっています。

日本政府の今までの対応や情報公開(のお粗末さ)の前例から考えると、日本政府がこの事態の収拾を、TEPCOよりも上手くやっていけるのか、そして事態の経過をTEPCOよりも上手に一般市民に伝えていけるのか、というのは疑問として残ります。この週末、漏洩しているタンクの周囲の放射線量は、当初の報告よりも18倍高かった、ということがわかりました。単なる「異常事態」として始まったはずの漏洩が、結果的には本物の危機となってしまったわけです。日本は、ここで海外の専門家に助けを求めるべきです。米国、ロシア、フランス、そして英国などの各国は、原子力工学、浄化、そして放射線が人体に及ぼす影響などに精通した専門家がいます。これらの専門家は日本の助けになることが出来るでしょう。研究と環境再生を、国際的な協力の下で進めていくことで、一般市民の、事態の調査と危機回避に対する不信感を和らげていくことが出来るでしょう。

この汚染水の漏洩で一番重要な影響を受けるのは、福島沖の海洋と、そして太平洋です。これらの地域はしっかりと調査監視していかなければなりません。2011年と2012年に日本と米国の研究者が共同で行った調査の後、二つの重要な疑問が明らかになりました。一つ目は、どれだけの放射能が現在まだ海洋に漏洩しているのか、ということ。そして二つ目は、いまだに海洋生物の種類によってはかなり高い放射線量が計測されていることを考えると、汚染地域からの海産物が、消費しても安全なレベルになるにはあとどれくらいの時間がかかるか、ということです。汚染水の漏洩、という事実で、この二つの問題に対する答えを見出すことが、さらに重要な課題になって来ました。

今回の漏洩の環境汚染にたいしての影響を正確に査定するためには、科学者は海洋の食物連鎖系をサンプリングして、全ての半減期の長い原子核種(特にセシウム137、ストロンチウム90とプルトニウム239)について分析する必要があります。そして、科学者は、汚染がどこから来ているのか、を知る必要がありますし、原子核種が地下水、堆積物、そして海流を媒介にしてどう拡散していくか、を研究する必要があります。現在の首長である安倍晋三と彼が率いる政府は、科学の振興に力を入れる、ということを約束しています。彼らは、世界中からの研究者がデータを集め、解析し、シェアできるように、サポート体制をととのえるべきです。チェルノブイリでは、事故後にそれを研究に利用して、われわれの原子力や環境についての理解を深めていく、という機会は持てませんでした。少なくとも福島では、まだ遅くはありません。この機会に、事故後の研究を推進していくことができるはずです。



国連人権理事会 福島事故、健康である権利侵害

2013.07.04 11:41|国際機関などの指針
■国連人権理事会 福島事故、健康である権利侵害 
(東京新聞「こちら特報部」2013年6月21日)


日本では福島原発事故後「健康を享受する権利」が侵害されている-。国連人権理事会で五月、被災状況を調査した健康問題に関する報告があった。

放射線量の避難基準を厳格にすることなどを求めたものだが、日本政府は「事実誤認もある」などと激しく反発、勧告に従う姿勢を示していない。「人権を軽視している」との批判が高まっている。 (林啓太)

 「除染はなかなか進まない。国や県が公表する放射線量の数値は信用できるのか。不安は拭えない」

 県が十九日に福島市の福島大学付属小で開いた子どもの甲状腺検査の説明会。説明を聞いた小学五年の長女と小学一年の次女を通わせる主婦(37)がつぶやいた。

県側は「甲状腺のがんが増加するとは考えにくい」などと説明したが、この主婦は「とにかく、今、何が起こっているのか、正確な情報を知りたい」と訴えた。県は県民の健康影響調査を実施しているが、不安感は消えていない。

 五月二十七日にスイス・ジュネーブで開かれた国連人権理事会で、福島原発事故後の健康問題に関する調査の報告があった。特別報告者、アナンド・グローバー氏の報告と勧告は、日本政府にとって厳しいものだった。

 報告では、原発事故直後に緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)の情報提供が遅れたことで、甲状腺被ばくを防ぐ安定ヨウ素剤が適切に配布されなかったと強く批判した。

 その後の健康調査についても不十分だと指摘。特に子どもの健康影響については、甲状腺がん以外の病変が起こる可能性を視野に、「甲状腺の検査だけに限らず、血液や尿の検査を含めて全ての健康影響の調査に拡大すべきだ」と求めた。

 日本政府が福島の避難基準について一年間に浴びる被ばく線量を二〇ミリシーベルトとしていることに対しては、「科学的な証拠に基づき、年間一ミリシーベルト未満に抑えるべきだ」と指摘。

「健康を享受する権利」を守るという考え方からは、年間一ミリシーベルト以上の被ばくは許されないとした。汚染地域の除染については、年間一ミリシーベルト未満の基準を達成するための時期を明示した計画を早期に策定するよう勧告した。

 人権理事会は、世界各国の人権侵害の調査、改善に取り組んでおり、人権に関する各種委員会の上部に位置する。健康問題の調査は、拷問、貧困など特定の課題について人権状況を調べる「テーマ別手続き」の一環で行われた。

 特別報告者に任命されたグローバー氏はインド出身の弁護士だ。昨年十一月に来日し、約二週間にわたり現地調査などをした。「原発作業員の話も聞きたい」と要望し、今はホームレスとなった元作業員がいる公園にも足を運んだという。

 人権理事会の報告について、青山学院大の申恵〓(シンヘボン)教授(国際人権法)は「『テーマ別手続き』は、特定の国の人権状況を調べる『国別手続き』と比べて政治的な影響を受けにくい。信頼性が高く、勧告には重みがある」と指摘する。

「法的な拘束力はないが、当事国は指摘を誠実に受け止め、人権状況の改善に生かすことが求められる」。国連社会権規約委員会も勧告に従うよう求めている。

 ところが、勧告を受けた日本政府は、激しく反発。人権理事会に提出した「反論書」で、「報告は個人の独自の考え方を反映し、科学や法律の観点から事実誤認がある」と言い切っている。

 SPEEDIの情報公開が遅れたとの指摘に対しては「すでに政府のホームページに掲載され、一般に公表されている。今では速やかに情報を公開する準備がある」と説明。

子どもの尿や血液の検査については、「尿検査は日本の学校では毎年行っている。血液検査は、科学的な見地から必要な放射線量が高い地域では実施している。不必要な検査を強制することには同意できない」と拒否した。

 公衆の被ばく線量を年間一ミリシーベルト未満に抑えることには「国際的に受け入れられている国際放射線防護委員会(ICRP)の勧告と国内外の専門家の議論に基づき避難区域を設定している」と反論した。

除染を終える時期については「除染によって一ミリシーベルト未満に下げるのは長期的な目標」とだけしか回答しなかった。

 報告には、原発作業員の健康影響調査と治療が必要との指摘もあったが、「法律で六カ月ごとに必要な医療検査を行うことを雇用者に義務づけている。必要とされる治療も提供される」と説明した。

 避難基準について、内閣府原子力被災者生活支援チームの担当者は取材に「線量が高いからといって住み慣れた家を離れるよう強いれば、環境の変化が健康リスクになりえる」と話した。

 こうした日本政府の反論に欺瞞(ぎまん)はないのか。

 SPEEDIの情報提供について、申教授は「公表が遅れたために、高線量の地域にとどまった住民も多い。こうした経緯に一切触れず、時間がたってから公表した事実だけを述べて反論するのは説得力を欠く」と指摘する。

 子どもの尿と血液の検査の必要性については、国会事故調の委員を務めた元放射線医学総合研究所主任研究官の崎山比早子氏は「学校の尿検査だけでは、セシウムの検出はできない。甲状腺炎などの異常を見つけるためには、血液検査も必要だ」と批判する。

 ICRPの勧告は、復旧期の被ばく基準を一~二〇ミリシーベルトとしている。だが、グローバー氏はICRPの勧告が「リスクと経済効果をてんびんにかける」という考え方に基づいている問題性を指摘し、「個人の権利よりも集団の利益を優先する考え方をとってはならない」と断じている。

 「避難することで高まる健康リスクもある」と言うが、崎山氏は「そうした考え方を、避難を望む人にまで押しつけてはならない」と言う。「避難するかとどまるかを自由に選択できるようにし、必要があれば経済的な援助をするのが政府の役割のはず」

 原発作業員について、申教授は「作業員はかき集められ、十分な被ばく対策もないまま作業に当たらされているのが実態」と話す。

 「健康を享受する権利」は、日本も批准した人権条約「国際人権規約」で規定された権利だ。

 日本政府はなぜ、人権侵害の指摘を打ち消そうと躍起になるのか。国際人権NGO「ヒューマンライツ・ナウ」の伊藤和子事務局長は「日本の原発は安全で、対応も完璧だと国際的に評価されたいのだろう」とみる。申教授は「あまりに人権を軽視している。まず人権侵害の状況があることを認め、一刻も早く改善に向けた具体的な道筋を示さなければならない」

 グローバー氏は取材に、「誰もが十分な健康検査を受けられることが、健康を享受する権利の核心。日本政府は、適切で十分な健康ケアが、全ての関係者に行き届くようにしなければならない」と強調した。

<デスクメモ> 
国連の勧告をまったく考慮することなく、反発だけをする日本政府はどうかしている。謙虚に「検討」ぐらいしてみせたらどうなのか。政治家の慰安婦問題に関する発言といい、この国の人権感覚は、国際常識からどんどん離れていっているのではないか。まともそうに見える国だから始末が悪い。(国)

国連特別報告者アナンド・グローバー氏・日本調査報告書勧告

2013.06.27 10:43|国際機関などの指針
※重要なのでOur Planet TVさんサイトより転載
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1589

国連人権理事会は日本時間の2013年5月24日未明、福島第一原発事故後の人権状況に関して国連特別報告者アナンド・グローバー氏の報告書と勧告をサイトの公開した。勧告では、「子ども被災者支援法」の基本方針を事故の影響を受けた住民や自治体とともに策定することや汚染レべルを年間1ミリシーベルト未満に下げるために、期間がきちんと明記した計画を、早急に策定することを求めている。
 
勧告は、原発事故の初期対応、健康調査、放射線モニタリング、除染、透明性と説明責任の確保、賠償や救済措置、そして、政策の住民参加についての計31項目。中でも、健康調査については、年間1ミリシーベルトいく上の地域に居住する住民すべてに健康管理調査をすることや
甲状腺検査は子どもだけでなく大人にも実施し、血液、尿検査なども行うよう求めるなど10項目にわたった。
 
また、情報のアクセスや透明性についても言及しており、健康検査の結果へのアクセスを容易にすることや原子力規制院会の委員と原子力産業の間に利害相反がないか、その関わりを公開するよう求めている。
 
これに対し、日本政府は声明を発表し、「報告書のドラフト段階で、日本政府は科学的、もしくは法律的観点から、事実誤認を明確にするためにコメントを提供してきた。それにもかかわらず、我々の説明が正確に反映されていない箇所が報告書に見受けられる」と主張福島県健康基本調査のために約800億円の財政支援を行っており、避難区域に住んでいた住民を対象に、個人の被ばく量の測定、子どもの甲状腺検査、大人を含む血液検査、心臓の検査、妊娠と出生を行っているなどと反論した。



国連特別報告者アナンド・グローバー氏・日本調査報告書勧告
 
原発事故の緊急時について
76. The Special Rapporteur urges the Government to implement the following recommendations in the formulation and implementation of its nuclear emergency response system:
原発事故の緊急時対応策の策定と実施に際し、日本政府は以下の勧告に従うよう強く求める
 
(a) Establish regularly updated emergency response plans that clearly demarcate the command structures and specify evacuation zones, evacuation centres, and provide guidelines for assisting vulnerable groups;
原発事故の緊急対策計画を定期的に見直し、確立すること。指揮系統を明確に示し、避難地域や避難場所を特定や弱者支援の指針を規定すること
 
(b) Communicate disaster management plans, including response and evacuation measures, to residents of areas likely to be affected by a nuclear accident;
原発事故の影響を受ける危険性のある地域の住民と、事故対応や避難対策など災害対策計画について協議すること
 
(c) Release disaster-related information to the public as soon as a nuclear accident occurs;
原子力事故発生時には、即時に災害関連情報を公表すること
 
(d) Distribute promptly iodine prophylaxis before or as soon as the accident occurs;
原発事故発生時には、事前に、または即時にヨウ素剤を配布すること
 
(e) Provide for prompt and effective usage of such technology as SPEEDI in gathering and disseminating information on affected areas;
被曝影響を受ける地域について情報を収集し、情報提供するために、SPEEDIなどの技術を迅速かつ効率的に活用すること 

健康調査に関して
77. With respect to health monitoring of the affected population, the Special Rapporteur urges the Government to implement the following recommendations:
原発事故の影響を受けた人々に対する健康調査について、日本政府は以下の勧告に従うよう強く求める
 
(a) Continue monitoring the impact of radiation on the health of affected persons through holistic and comprehensive screening for a considerable length of time and make appropriate treatment available to those in need;
長期にわたる包括的かつ広範な調査を実施し、必要にとする人に適切な処置・治療を行うことを通じて、放射能の健康影響を継続的にモニタリングすること
 
(b) The health management survey should be provided to persons residing in all affected areas with radiation exposure higher than 1 mSv/year;
年間1ミリシーベルト以上の地域に居住する人々に対し、健康管理調査を実施すること
 
(c) Ensure greater participation and higher response rates in all health surveys;
すべての健康管理調査において、多くの人が受診できるよう保障し、調査の回収率を高めるようにすること
 
(d) Ensure that the basic health management survey includes information on the specific health condition of individuals and other factors that may exacerbate the effect of radiation exposure on their health;
「基本調査」には、個人の健康状態と、被曝によって健康に影響を及す要素を含めること
 
(e) Avoid limiting the health check-up for children to thyroid checks and extend check-ups for all possible health effects, including urine and blood tests;
子どもの健康調査は、甲状腺検査に限らず、尿検査や血液検査を含め(被ばくの)影響を受ける可能性がある全ての健康調査に範囲を拡大すること

(f) Make follow-up and secondary examination for children’s thyroid check-up available to all requesting children and parents;
甲状腺検査のフォローアップと二次検査を、親や子が希望するすべてのケースで実施すること
 
(g) Simplify children’s and their parents’ access to information regarding their test results, while ensuring the protection of private information;
個人情報を保護しつつも、検査結果に関する情報を、検査を受けた子どもや保護者が容易に入手できるようにすること
 
(h) Refrain from restricting examination for internal exposure to whole-body counters and provide it to all affected population including residents, evacuees, and to persons outside Fukushima prefecture;
内部被ばくの検査をホールボディーカウンターに限ることをやめ、住民や避難者、福島県外の人を含む、影響を受けた全ての人が検査を受けられるようにすること 

(i) Ensure mental health facilities, goods and services are available to all evacuees and residents, especially vulnerable groups such as older persons, children and pregnant women;
全ての住民や避難者、とりわけ高齢者や子ども、妊婦などの弱者のために、心理的ケアを受けることのできる施設やもの、サービスを確保すること
 
(j) Monitor the health effects of radiation on nuclear plant workers and provide necessary treatment.
原発労働者に対して被ばくによる健康影響を調査し、必要な治療を行うこと
 
被曝線量に関する政策について
78. The Special Rapporteur urges the Government to implement the following recommendations regarding policies and information on radiation dose
放射線量に関連する政策・情報提供に関し、日本政府は以下の勧告に従うよう強く求める
 
(a) Formulate a national plan on evacuation zones and dose limits of radiation by using current scientific evidence, based on human rights rather than on a risk-benefit analysis, and reduce the radiation dose to less than 1mSv/year;
最新の科学的根拠を用いて避難区域や被ばく線量限度について、国としての計画を策定すること。その際、リスク便益分析の立場ではなく、人権に基づいて、被曝限度を年間1ミリシーベルト未満に抑えること
 
(b) Provide, in schoolbooks and materials, accurate information about the risk of radiation exposure and the increased vulnerability of children to radiation exposure;
放射線の危険性と、子どもが被曝に対して感受性が高いという事実について、学校教材等で正確な情報を提供すること
 
(c) Incorporate validated independent data, including that from the communities, to monitor radiation levels.
放射性レベルを計測については、地域住民によるものも含め、有効な民間データを活用すること
 
除染と瓦礫保管について
79. Regarding decontamination, the Special Rapporteur urges the Government to adopt the following recommendations:
除染について、日本政府は、以下の勧告に従うように強く求める
 
(a) Formulate urgently a clear, time-bound plan to reduce radiation levels to less than 1mSv/year;
放射能レベルを年間1ミリシーベルト未満に下げるため、時間目標を明確に定めた計画を早急に策定すること
 
(b) Clearly mark sites where radioactive debris is stored;
放射性瓦礫の保管場所を明確に表示すること
 
(c) Provide, with the participation of the community, safe and appropriate temporary and final storage facilities for radioactive debris;
地域住民の同意を得た上で、安全で適切な放射性瓦礫の中間・最終貯蔵施設を整備すること
 
情報公開について
80. The Special Rapporteur urges the Government to implement the following recommendations regarding transparency and accountability within the regulatory framework:
規制組織内部の透明性と説明責任について、日本政府は、以下の勧告に従うように強く求める
 
(a) Require compliance of the regulatory authority and the nuclear power plant operators with internationally agreed safety standards and guidelines;
原子力規制委員会および原発事業者は、国際的に合意された安全基準や指針を遵守すること
 
(c) Ensure disclosure by members of the Nuclear Regulation Authority of their association with the nuclear power industry;
原子力規制委員会の委員と原子力業界との関係について情報を開示すること
 
(d) Make information collected by the Nuclear Regulation Authority, including regulations and compliance of nuclear power plant operators with domestic and international safety standards and guidelines, publicly available for independent monitoring;
規制や国内外の安全基準や指針に関する原子力事業者の遵守状況など、原子力規制委員会が集めた情報は、外部から監視できるよう公開すること
 
(e) Ensure that TEPCO and other third parties are held accountable for the nuclear accident and that their to pay compensation or reconstruction efforts is not shifted to taxpayers.
原発災害による損害について、東京電力等が責任をとることを確保し、かつその賠償・復興に関わる債務を納税者に転嫁しないようにすること
 
賠償や生活支援について
81. In relation to compensation and relief, the Special Rapporteur urges the Government to implement the following recommendations:
補償や救済措置について、日本政府は、以下の勧告に従うよう強く求める
  
(a) Formulate, with the participation of the affected communities, the implementing framework under the Victims Protection Law;
原発事故の影響を受けた住民の参加を得て、「子ども被災者支援法」について、基本方針を策定すること。
 
(b) Include cost of reconstruction and restoration of lives within the relief package;
支援(救済)策には、復興と人々の生活再建のためのコストを含めること
 
(c) Provide free health check-ups and treatment that may be required for health effects from the nuclear accident and radiation exposure;
原発事故と被曝の影響により生じた可能性のある健康影響について、無料の健康診断と治療を提供すること
 
(d) Ensure that compensation claims by affected persons against TEPCO are settled without further delay;
東京電力に対する損害賠償請求が、遅滞なく解決するよう保証すること
 
住民参加について
82. The Special Rapporteur urges the Government to ensure effective community participation, especially participation of vulnerable groups, in all aspects of the decision-making processes related to nuclear energy policy and the nuclear regulatory framework, including decisions regarding nuclear power plant operations, evacuation zones, radiation limits, health monitoring and compensation amounts.
原発の稼働、避難地域の指定、放射線量限界、健康調査、補償を含む原子力エネルギー政策と原子力規制の枠組みら関するすべての側面の意思決定プロセスに、住民参加、特に脆弱な立場のグループが参加するよう、日本政府に強く求める。

(OurPlanetTV仮訳 2013年5月28日)

国連人権理事会グローバー報告書全文(英文)2013年5月2日
http://www.ohchr.org/Documents/HRBodies/HRCouncil/RegularSession/Session...
日本政府の声明(英文) 2013年5月27日
http://www.ourplanet-tv.org/files/20130527_JapanStatement.pdf
日本政府の詳細な反論(英文)
http://www.ohchr.org/Documents/HRBodies/HRCouncil/RegularSession/Session...

※転載おわり

 
何をどうすべきかはこの勧告だけではなく、全て心ある専門家によって
示されてきました。

震災後、被災地復興のために集められたお金や事業のほとんどが、
被災者のためではなく〈原子力ムラ〉の新たな収入源となってしまった現実。

目に見えない被曝リスクを負わされた被害者はずっと置き去りのままです。

 原子力緊急事態宣言 http://www.kantei.go.jp/saigai/pdf/kinkyujitaisengen.pdf

は2011年3月11日以来ずっと発令中だというのに、
日本では今まで通り何もなかったかのように生活するのが「普通」です。
今回の事故後に起こったことに対する無関心が、次の事故の被害者を
生み出すのは確実です。

これは日本だけじゃなく、地球レベルのあとまわしがきかない問題です。

日本人が過剰な被曝を受認しながら「普通」に生活することが、核汚染
公害による被害をなるべく小さく記録しようとしている核保有国そして
世界中の原子力推進組織の思惑と一致します。

つまり、日本人が東電原発事故に対して何事もなかったかのように
やり過ごしてしまうことは、世界中で原発や核兵器を無くすために
たたかっている人たちを妨害することになってしまうのです。

「あんな酷い事故を起こしても原発は続けられる」

「こんな酷い汚染レベルでも生活できる」

と推進側が表明する根拠に自分たちがなるなんて最悪じゃないですか?
みなさんは、この事故被害の当事者なのに傍観者のままで、いったい
どんな未来を子供たちに残すつもりですか??



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BQN

Author:BQN
東日本大震災の時に首都圏在住在勤。キヨシローの反原発ソングしか知らなかった自分を反省し、当時小3になったばかりの子供を放射能からどう守ったらよいか真剣に学ぶ。1年後、沖縄に移住。2012年12月、沖縄にいる原発避難者のための東電による説明会が行われたが、その開催に尽力したのが避難者支援の市民団体『つなごう命〜沖縄と被災地をむすぶ会〜』だった。共同代表の沖本八重美さん(2013.1.26永眠)は広島原爆の胎内被爆者ゆえ、新たな被ばくの犠牲者に対し深い共感をもって支援した。深刻かつ長期にわたる被害に対し “法廷で東電と国の責任を問う” ことが八重美さんの悲願だった。私も同じ気持ちでこの訴訟の支援を続けて行きたいと思っている。

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