専門家たちが、年間被ばく量20ミリシーベルトに反対する理由

2013.11.15 18:49|被曝・賠償・医療問題
■専門家から続々!「原子力規制庁の20ミリシーベルト帰還案にNO!」の声
(2013年11月14日 ママ・レボ編集長通信 No.8 より転載)


http://momsrevo.blogspot.jp/2013/11/20.html

****専門家たちが、年間被ばく量20ミリシーベルトに反対する理由****


◇「年間20ミリシーベルト以下で安全」は政治的・経済的基準 (元放射線医学総合研究所主任研究官・医学博士/崎山比早子)

 原子力規制委員会の新指針「年間被ばく量20ミリシーベルト」は、放射線作業従事者の年間限度線量です。それを放射線に感受性の高い妊婦、乳・幼児、子どもを含む全住民の限度線量とするという神経は、いったいどこから来ているのでしょうか? これまで科学的に積み重ねられた証拠は「放射線に安全量はない」ということを示していますし、国際機関もこれを認めています。

 それでは、なぜ今になってこれまでの1ミリシーベルトではなく20 ミリシーベルトまでを安全とするキャンペーンが声高になってきたのでしょうか? そうしないと、避難させなければならない住民、補償しなければならないものがふえるからで、これは人のいのちよりも経済を優先させた考え方です。
 個人線量計をつけさせ、多くの住民を被ばくさせながらその健康を管理するという方針は、これから大規模な人体実験を行いますよということに等しいのです。
                 

◇10~20ミリシーベルトの被ばくでがんは有意にふえる
(北海道深川病院内科部長/松崎道幸)


政府は、100ミリシーベルト以下の放射線被ばくでは、がんのリスクは無視できるほど小さいと述べている。しかし、2010年以降、重要なデータが3つ公表された。

(1)医療被ばく(CT検査など)10ミリシーベルトごとに、がんのリスクが有意に3%ずつふえていた。(カナダ)
(2)日本の原発労働者のがん死リスクが、10ミリシーベルトの累積被ばくで、有意に3%ふえていた。
(3)自然放射線被ばくが1ミリシーベルトふえるごとに、子どもの白血病のリスクが12%ずつ有意にふえていた。(イギリス)

このほかにも、10~20ミリシーベルトの被ばくでがんが有意にふえることを証明した科学論文が公表されている。毎年20ミリシーベルトの被ばくを5年間続けると、大人のがんは30%ふえ、子どもの白血病は12倍ふえることになる。
最新の科学データを無視し、放射線被ばくの影響を一ケタ過小評価した政策を進める政府に、われわれと未来の子どもたちの健康を託してよいのだろうか。


◇私が20ミリシーベルトに反対する理由
(東京大学大学院教育学研究科教授/影浦峡)


(1) 一般公衆の被ばく限度は年間1ミリシーベルトという法的枠組みがある。管理基準とはいえ、社会的な合意であり、事故が起こったからといって基準を変えることは許されない。

(2) ICRP(国際放射線防護委員会)の現存被ばく状況では、1~20ミリシーベルトの低いほうから参照レベルを選ぶとされている。これは、やむをえない状況における防護対応のステップを示す目安であって、20ミリシーベルトまで安全だとうこととはまったく違う。

(3) 国連健康に関する特別報告者勧告(グローバー勧告)も、1ミリシーベルトを達成する具体的な時間を定めるよう求めている。

(4) 20ミリシーベルト以下で影響がないといった主張は、「わからない」ことを「存在しない」ことにすり替える詭弁(きべん)で、非科学的な態度である。

(5) 最近、低線量でも影響があることを、エビデンス(医療的な意味での証拠)とともに示す研究が複数現れている。

もはや「低線量被ばくについてはわからない」と開き直ることは、けっしてできない。


◇年間20ミリシーベルトは、医学的見地からも、きわめて無責任
(医学博士/ヘレン・カルディコット)


 みなさんに認識していただきたいことは、「放射能」に関する安全な数値など存在しないということだ。これは全米科学アカデミーも発表している。しかも、子どもたちは大人以上に「放射能」による人体への影響が高く、「がん」の誘発率は10~20倍になるといわれている。さらに、女性は男性よりも「放射能」に対しても敏感であり、人体に受ける影響の確率が高いのだ。日本政府が今回出した年間20ミリシーベルトという数値は、医学的見地からも、きわめて無責任な行為である。放射能の危険性に対しては、福島のみに限られているようだが、広範囲の地域への対応をただちに開始すべきだ。そして、すでに年間1ミリシーベルト以上の「放射能」を浴びている人々は、すべての病の発生を想定し、長期的な健康診断を続けなければならない。


◇健康障害のリスクを軽視する指針は、医師として許せない
 (内科医/牛山元美)


 CTスキャンや心臓カテーテル検査によって、約10ミリシーベルトの医療被ばくを受けた方の発がん率は、およそ3%上がるという報告がある。オーストラリアやイギリスからも、5ミリシーベルトを超える被ばくで白血病やがんの発病率がふえたという大規模な研究報告が相次いでいる。低線量による健康障害の実態は、まだ未解明な部分が多いとはいえ、新たな研究報告があるたびに、やはりより低線量でも危険であることが立証されているところだ。明らかに多大な健康障害を生み、でも個人が努力することで解消できる喫煙習慣を引き合いに出し、のがれられない年間20ミリシーベルト の被ばくによる発がんリスクを軽視させ、発がんを国民の自己責任にしようとする責任転嫁、健康的生活を営むという基本的人権の侵害、経済効果を優先し健康障害のリスクを明らかに軽視する今回の指針は、医師として許せない。


◇個人線量に着目することで、調査・除染責任を放棄した政府
(東京災害支援ネット代表 ・弁護士/森川清)

 「個人線量」をもとに被ばく線量を評価することで、20ミリシーベルト基準と相まって施策の放棄ともいえる事態が生じるおそれが大きくなる。本来、「公衆」をベースに地域全体に対して施策を検討すべきものとして地域全体の汚染状況の調査を進め、それに合わせて除染をすべきところ。なのに、具体的な「個人線量」に着目することで調査を放棄して、除染をはじめとする施策をきわめて限定的なものにしてしまう。また、事前的な評価から事後的な評価に変わってしまうと、被ばくしたあとで施策に活かしていくことになり、個々の住民の安全が保障されなくなる。帰還にあたっては、徹底的な汚染状況の調査と除染を求めていかなければならない。


◇帰還しない場合の支援措置も充実を
(大阪大学コミュニケーションデザイン・センター准教授/平川秀幸)

 今回、原子力規制庁が示した基本的考え方(案)は、「帰還に向けた」という検討チームにあてがわれた議論の枠組みに縛られている。そのため、帰還した場合の放射線防護や生活再建については重要な一歩となりつつも、帰還しない場合の生活再建支援のあり方にはほとんど触れていない。このため、すでに帰還しないと決めている人だけでなく、帰還するかどうか迷っている人にも制約が残るものになっているのではないか。このままでは、帰還しない場合の支援措置が不十分だったり見通しが不透明だったりするために、しかたなく帰還を選ぶケースも出かねない。このような偏りは、つい最近まで政府が「全員帰還」を原則にしていたことの結果であり、今後は速やかに、子ども被災者支援法に則るなど、帰還しない場合も含めた総合的な支援体制を用意されるよう、政治のイニシアティヴが発揮されなければならない。


◇「カネのための科学」で、棄民政策が恒常化される
(北海道がんセンター名誉院長/西尾正道)   


 政府・原子力規制委員会は、「年間20ミリシーベルトで安全・安心」として、福島県民の帰還促進をはかる方針を打ち出した。事故前は年間1ミリシーベルトだったが、事故後はあと出しジャンケン的手法で20ミリシーベルトまで引き上げるという国家的な犯罪行為を行ったが、今度はその犯罪行為を恒常的なものとしようとしている。1ミリシーベルト以上の住民は低線量被ばく下におかれ、長期的な生体実験をされているようなものである。医学論文では20ミリシーベルト以下でも健康被害が生ずるとする多くの報告があるが、こうした科学的な証拠は無視し、原子力政策を進めるために棄民政策を正当化することに奔走している。「国民のための科学」ではなく、御用学者が作った疑似科学物語に依拠して「カネのための科学」となっている日本の現状は、悲惨な結果につながることになるだろう。

    
***************

こうした専門家たちの声を、ぜひ多くの方々に広めてください。


※以上、転載おわり


関連記事

原発事故「生業訴訟」東電に「津波」試算開示命令

2013.11.14 09:40|なりわい訴訟報道
■原発事故「生業訴訟」東電に「津波」試算開示命令
(2013年11月13日 読売新聞朝刊)


原発事故で県内外の1959人が、東電と国に原状回復と損害賠償を求めた
「生業(なりわい)訴訟」の第3回口頭弁論が12日、福島地裁で開かれた。

潮見直之裁判長は、東電に対し、震災前、地震や津波が原発に与える影響を
試算した資料を全て開示するように命じた。原告側は「東電の試算資料が
全て明らかになるのは画期的」と評価した。原告側は2008年頃までに
東電がまとめた「試算に関する一切の資料」の開示を求めていた。

この日の口頭弁論で東電側は、資料開示に難色を示したが、潮見裁判長は
「請求権の立証に必要」とする原告側の意見を採用した。原告側代理人の
馬奈木厳太郎弁護士は「東電の過失を立証するうえで、重要な資料となり
うる」としている。

また、原告側の「『生業を返せ、地域を返せ!』福島原発事故被害弁護団」
は12日、来年2月に第3次の追加提訴を行う方針を明かにした。

関連記事

【千葉】原発事故で市民団体 甲状腺エコー検査

2013.11.12 02:33|被曝・賠償・医療問題
■【千葉】原発事故で市民団体 甲状腺エコー検査
(2013年11月11日 東京新聞)



 原発事故の健康への影響を懸念する関東地方の市民団体などで今年九月、子どもの甲状腺エコー検査のための「関東子ども健康調査支援基金」が設立され、県内で初の検査会が九日、流山市の東葛病院であった。
 基金は千葉、埼玉、茨城三県の市民団体が「健康調査は国や自治体がやるべきだと訴えてきたが動きがない。もう待てない」と設立した。現在、三百の団体と個人が会員となり、ボランティアで運営する。

 国は十月、原発事故を受けた「子ども・被災者支援法」の基本方針を閣議決定したが、福島県以外の健康調査は明記されていない。

 検査は北海道がんセンター名誉院長で医師の西尾正道さん(66)が協力し、画像や検査結果をその場で手渡す。費用は一人千円程度のカンパで賄う。西尾さんは「全国どこでも検査できる体制を整える必要がある」と話す。
 基金では、機器を購入して十月から検査を始めた。九日の検査は茨城県つくば市、ひたちなか市に続き三回目で、東葛地区の児童を中心に九十人が受診した。娘二人を連れた白井市の男性会社員(46)は「検査を受けること自体も緊張した。結果をじっくりと理解し受け止めたい」と話した。

 基金呼び掛け人の一人、松戸市の木本さゆりさん(44)は「子どもの将来のために今のデータを残し、継続的に調べていく必要がある」と話し、来年から月一回程度の検査実施を目標にしている。

 問い合わせは基金事務局=電0297(48)4911=へ。 (三輪喜人)


関連記事

「人」への支援 いわき市議の取組みから

2013.11.08 23:22|被曝・賠償・医療問題
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

まっとうな議員さん発見!!福島県いわき市の市議・佐藤かずよし氏、被災者の側に立った仕事ぶり。「被災者の生活再建に係る課題」として挙げられた項目は、日本全国で実現してほしい内容。とてもよくまとまっているので転載しておきます。 

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆


■初期被曝の実態解明、リフレッシュ保養ー特別委員会の議論
2013年 11月 07日 いわき市議会議員 佐藤かずよし氏のブログより

http://skazuyoshi.exblog.jp/21290859/

10月定例会の東日本大震災復興特別委員会が11月6日開かれました。
議題は、3点。

1、いわき市の復興・被災者の生活再建等のための課題について
2、国及び東京電力に対する要望事項について
3、その他

午前中2時間は、「いわき市の復興・被災者の生活再建等のための課題について」。事前に、執行部に提出していた議会側からの課題項目に対し、執行部側が説明した後、質疑・意見交換を行いました。

わたくしは、「被災者の生活再建に係る課題」の「子供たちの健康管理のため本市における初期被曝の実態解明」の項で、飯館村での初期被曝評価が環境省の公募研究調査事業として、専門家などのプロジェクトチームによって実施されていることを紹介しました。保健福祉部長は「いわき市としては無理だ」との発言でしたが、いわき市としてもこうした環境省や専門家の動きに注目すること、いわき市としても2011年3月15日のプルームによる初期被曝の実態解明を進める立場に立つべきであることを、あらためて求めました。

 また、「学級単位の移動教室など、子どもたちのリフレッシュ保養制度の検討」の項では、市教育委員会が「保養はない」としたため、閣議決定された原発事故子ども・被災者支援法の基本方針の被災者支援の中で「自然体験活動等を通じた心身の健康保持」の項目がまさに保養を取り扱っているという文部科学省の「解釈」を伝えるとともに、「『リフレッシュ・キャンプ』を県内外で実施する」ことに積極的の取り組むよう県教育委員会にいわき市からも要望すべきであると、求めました。


●いわき市の復興・被災者の生活再建等のための課題について

取組の柱1 被災者の生活再建に係る課題 

1 学校給食食材における被曝の最小化の推進
  ⑴ ゼロベクレル基準の採用の検討

2 子供たちの健康管理のため本市における初期被曝の実態解明
  ⑴ 初期被曝の実態を解明する体制の構築

3 いわき市内におけるアルファ線、ベータ線核種の土壌汚染マップの作成

4 学級単位の移動教室など、子どもたちのリフレッシュ保養制度の検討

5 県民健康管理調査の甲状腺検査等の充実
  ⑴ 被験者への告知方法や画像データの提供、検査頻度の増加、血液及び尿検査の追加など、県に対する現状の改善要求
  ⑵ 甲状腺検査結果がA2判定であった者への追加的対応について、県に対する要望及び市独自施策の実施の検討

6 内部被ばく検査の推進
  ⑴ 幼児・若年層における受診率向上のための施策の検討
  ⑵ 検査後の追加的施策の強化

7 健康診査項目への原発避難区域と同様の検査項目の追加
  ⑴ 血小板数、白血球数、白血球分画の検査項目への追加

8 被災者及び復興を支える方たちの心身のケアについて
  ⑴ 大地震及び津波被災者に対する心身のケア等の取り組み状況
  ⑵ 復興に携わる除染作業員に対する心身のケア等の取り組み状況
  ⑶ 復興事業の本格化により負担が増加している職員に対する心身のケア等の取り組み状況



※以上、記事の一部転載おわり

関連記事
| 2013.11 |
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
Profile

BQN

Author:BQN
東日本大震災の時に首都圏在住在勤。キヨシローの反原発ソングしか知らなかった自分を反省し、当時小3になったばかりの子供を放射能からどう守ったらよいか真剣に学ぶ。1年後、沖縄に移住。2012年12月、沖縄にいる原発避難者のための東電による説明会が行われたが、その開催に尽力したのが避難者支援の市民団体『つなごう命〜沖縄と被災地をむすぶ会〜』だった。共同代表の沖本八重美さん(2013.1.26永眠)は広島原爆の胎内被爆者ゆえ、新たな被ばくの犠牲者に対し深い共感をもって支援した。深刻かつ長期にわたる被害に対し “法廷で東電と国の責任を問う” ことが八重美さんの悲願だった。私も同じ気持ちでこの訴訟の支援を続けて行きたいと思っている。

Latest journals

Latest comments

Latest trackbacks

Monthly archive

Category

Search form

Display RSS link.

Link

QR code

QR

ページトップへ